ColorCheckerと色について

マクベスColorCheckerとは

昔からあるこの数値表は、2005年時代のRGB値で古い表になります。

フィルム時代から使われているカラーチェッカーですが、カメラマンの撮影側としては写し込みとポジフィルムのグレー補正の為に使用していました。

デジタルになり商品に添付されている数値はカメラマンの画像処理の段階でより意識し目標値(目安)として使用されるようになりました。

ただ、こちらの数値はsRGB(D65)にもかかわらず印刷用途としてのAdobeRGB画像としても使われていました。(CEI L*a*b*の数値はD50)

*やはりD50でのRGB数値は気になると思いますので、このページの最後に他のカラースペースでの数値も記載させていただきます。


「マクベスColorChecker」と言うとすでに通じない時代かも知れませんが、このページでは、まずはグレタグマクベスとカラーチェッカーについて書かせていただきます。

*カラーターゲットは各社から出ていますが、ここでは「ColorChecker」について書いておきます。

カラーチェッカー(ColorChecker)と言えば、今はCalibrite社ですが、その前はX-rite社の製品でした。僕ら昭和世代では、その前の「マクベスのカラーチャート」と呼んでいた時代もあり、僕ものそうですが一部のカメラマンでは本番前に商品名よりも「マクベス入れて」と言う言葉が残っていたりもします。

全ての物事で歴史やそこに至るまでの経緯は非常に大切で重要になります。

国内では日本語での説明もほとんど見受けられないので、このページで少し書いておきます。

♦️GretagMacbethからCalibriteに至るまでの歴史♦️

GretagMacbeth(グレタマクベス)/Munsell(マンセル)は、色彩技術における専門知識で長年にわたり確固たる評価を築いてきました。その起源は、グレタグAG、マクベス人工日光照明会社、マンセルカラーカンパニーに遡ります。

Macbeth Daylighting Co.,Inc.は、Macbeth Artificial Daylighting Companyとしても知られ、1915年にニューヨーク市で照明エンジニアのNorman Macbethによって設立されました。同社は、店舗や病院、アートスタジオなど優れた照明を必要とする施設で使用するための日光をシミュレートする照明器具を専門としていました。マクベスは日光を模擬する初の照明システムを開発しました。

グレタグAGは当初、電気機械技術と照明製品を専門とし、後に色彩測定および色彩検査技術へと発展しました。

マンセルは、あらゆる色を正確に識別するための体系的なシステムを確立し、色彩コミュニケーションに明確さをもたらしました。

1965年から1997年にグレタグマクベスが設立されるまで、一連の戦略的合併・買収が行われ、提供されるカラーマネジメントソリューションの幅が広がりました。

主に買収・合併は以下の通りです。

1915年 マクベス・アーティフィシャル・デイライティング・カンパニー(Macbeth Artificial Daylighting Company:マクベス人工日光照明会社)はニューヨークで創業。ニューヨーク市の小売業者向けに自然光照明器具(日光照明器具)を提供。

1918年 マンセルカラー社(Munsell Color Company)がボストンで設立され、マンセル表記付きの色標準を提供。

1922年 マンセルカラー社はボストンからニューヨークに移転し、カラーブックやチャート、マンセルクレヨン、高級テンペラ絵の具を芸術家教師、そして学童の色彩教育のために販売し続けた。

1923 マンセルカラー社はニューヨーク市からメリーランド州ボルチモアに移転。

1946年 グレタグAG(Gretag AG)がスイスに設立。

1955年 マクベスはニューヨーク州ニューウィンザーに移転。

1957年 X-rite社はイノベーションに基づくビジネスを立ち上げたいという強い思いを持つエンジニアと起業家のグループによって設立されました。X線テープを開発した後、濃度測定分野に進出。

1965年 コルモゲン・インスツルメンツ社(Kollmorgen Instrument Corporation)とマクベスが合併。

1970年 コルモルゲン社は精密な色彩基準の製造で国際的に認知されていたマンセル・カラー社(Munsell Color Company)を買収。

1979年 グレタグ・カラー・コントロール・システムズ(Gretag Color Control Systems)が、グレタグAG内の独立した利益センターとなり、色測定および色品質管理製品に注力。

1980年 X-riteが初の分光測色計を発売。

1984年 グレタグ・カラー・コントロール・システムズが初のポータブル(携帯型)分光光度計を開発。製造。

1989年 マクベス社がドイツに拠点をおく分光光度計システムメーカーを買収。

1997年 グレタグAGのグレタグ・カラー・コントロール・システム部門が、コルモルゲン・インスツルメンツ社のマクベス部門と合併。

1998年 グレタグ・マクベス社は、カラーマネジメントソフトウエアの開発会社であるロゴ・コミュニケーションズ(ROGO Kommuikations)社を買収。

1999年 グレタグ・マクベスが、繊維産業向けソフトウェア会社タリア・テクノエキペ(Talia Tecnoequipe)を買収。さらにハンドヘルド計測器メーカーであるビプトロン(Viptronic)を買収。

2001年 グレタグ・マクベス・ホールディングAG(Gretag-Macbeth Holding)が、アマジス・ホールディングAG(Amazys Holding AG)に社名変更。

2003年 グレタマクベスは、テキスタイルソフトウェアおよびアプリケーションプロバイダーであるSheLyn Inc.と、グラフィックアーツソリューションプロバイダーであるSequel Imagingの買収を発表。

2006年 X-rite社は、Amazys Holding AGおよびその全保有資産を買収。

2012年 Danaher(USA)がX-riteを買収。

2021年 XriteからCalibrite社に一部(一般向け販売としてi1Publish Pro3以外のキャリブレーションセンサー、ColorCheckerなど)の製品を販売移行。


♦️ColorCheckerについて♦️

ColorChecker(Color Rendition Chart)は、1976年に当時のKollmorgen社の一部門であったマクベス(Macbeth Company)社のC.S.McCamyとその同僚たちによる論文で発表されました。

ColorChecker(カラーチェッカー)は、白から黒までの6つのグレーパッチと、一般的な加法混色(R,G,B)と減法混色(C,M,Y)で構成され、それら原色に加えて明るい肌色や空、葉などの自然な色となるものを配置しました。

このチャートの色と、フィルムで再現された自然な色を比較した時に同等の一致を求め、自然に見える色素は最適な色になるように開発されました。もとより、人の視覚の最適化としての一致は最優先事項ではありませんでしたが、設計者はそのメタメリズムの程度も非常に小さいことを示しました。

ColorCheckerが厳密に「目に見える世界と」同一なのか、デジタルでの比較や数値対応は正確なのかと言うところでは難しい部分も多々あります。しかし、現在も印刷を含めて目安や指針として重要な役割を果たしています。

まずは、簡単にColorChecker製品の歴史も簡単に触れておきます。

1976:ColorChecker(1976)とColorChecker Classic(204mm×290mm)

*クラシックは日本でもお馴染みのA4より少し大きいタイプのものですね。

2009:ColorChecker Passport

*オリジナルのColorChecker miniを置き換え強化したもので、ホワイトバランス用の大きめのライトグレーとさらにイメージとして自然風景や人物の色味を補正または強調するパッチの追加。さらにハイライトとシャドーのクリッピングを抑制するためのパッチが追加されました。(64mm×108mm)

*同時にAdobe CameraRaw(Lightroom)で使用するためのDNGカメラプロファイル作成ソフトも提供されました。

2011:ColorChecker Proof(114mm×161mm)

*各パッチに穴が空いているもので、カスタム印刷ターゲットの精度を評価し、校正を目的とした表品です。

:ColorChecker Classic Mini(64mm×108mm)

*I1Publishやi1Proソリューションにバンドルされていた商品で、サイズはPassportと同じです。単体での購入は出来ません。

PassportやProofと区別するためClassicが追加されました。

2019:ColorChecker Passport 2(2017)(64mm×108mm)

*以前のものにさらに18%グレーターゲットが追加されました。

*ColorChecker Classic Nano(24mm×40mm)

*小さい商品撮影など向けにユーザーの要望もあり商品化されました。その後、一般仕様ではありませんが、巨大なサイズのものも発売されました。

*2005年10月に、GretagMacbethはColorCheckerの参照データの更新を行い公表しました。

🔴2014年11月の新しいカラー仕様について

◎2015年10月23日にX-rite社はColorChecker ClassicおよびColorChecker SGに新しいカラー配合が必要であると発表しました。

これらの変更は、2014年11月以降に製造されたチャートから適用されています。

理由としては、規制およびコンプライアンス上のもので、以前のチャートで使用されていた顔料の毒性と、一部の管轄区域における環境法の厳格化によるものとされています。

◎ベースL*a*b*値について

グレタグマクベスによって数値化された基本Lab値をベースに各カラースペースでのRGB値が指定されます。

1976年の時点ではいくつかの問題があり、2005年にLab改定が行われ数値もそれに合わせて変更されました。

そして、上記で書いたように、色素材の変更により2014年にあらためてLab値の変更が行われます。

現在は2014年以降のL*a*b*値によって計測された数値を基本としています。

◎チェッカー数値の測定条件について

各色の数値には基準があります。GretagMacbeth/X-riteで決められた「Lab値」をベースに取り決められます。

数値は提供されている各企業によって多少変わりますが、基本的には全てのデータターゲットで、「45度/0度」計測で数値化されます。

RGB値の変換については、各社で考える基準の違いもあり同一ではないことが多いです。

 

◎チェッカー数値の使用について

計測環境や印刷環境での見え方の違いはある程度同じに扱えますが、撮影画像に関してはColorCheckerに当たる証明条件はさまざまで、画像処理でのRGB値ではあまり精度を求めることは出来ません。

画像データ作成では環境光を含めて視覚での調整を基本とした方が良いですが、現物のないものなどに関しては参考として比較することが推奨されます。


♦️ColorCheckerの各カラースペースのRGB値♦️

*残念ながら日本国内では、基準とされるColorCheckerのRGB値については2005年からの更新が一切行われていません。

また、商品に付属していた数値は今も使用されていますが、この数値はsRGB(D65)のもので印刷用途のAdobeRGBのものでもありません。

このサイトでは、X-riteから提供されている2014年以降のL*a*b*値を基準にEazyRGBで計測・変換した値と、この業界では最も信頼できるBabelColor(Lab2014とスペクトル平均)およびBruceLindbloom(ColorChecker Calcurator)が提供しているLabおよびRGB値を検証・確認した数値を載せます。

*各社Labの違いやBradford変換やその他の条件の違いで、いずれも数値が異なるため、どの数値を使用するかはユーザーの判断にお任せします。

**上記で書いたようにあくまで基準値になりますので、必ずしも画像補正値の目安になるものではありません。

◎sRGB(D65)


◎AdobeRGB(D50)


◎DisplayP3:X-rite(2014)LabおよびGretagMacbeth(2005)LabからPhotoshopで簡易変換したもの



◎ProPhotoRGBとeciRGBの数値は、X-rite(2014)LabからPhotoshopで簡易変換しました。



映像用のチャート:左からHDTV(HD-CIF)、NTSC、SMPTE-Cです。BabelColorの平均チャートになります。*チャートカラーはsRGB


GretagMacbeth/X-riteで提供されているL:a*b*を基準に各社でRGB値に変換しています。

"The data in this file is reported in CIE L* a* b* data for illuminant D50 and 2 degree observer and is being supplied by X-Rite, Inc. This information can be used for personal and educational but not for commercial purposes without license from X-rite, Inc."

提供されている「CIE L:a*b*値」は、x-riteのライセンスなしに、個人及び教育目的では使用出来ますが、商用目的では使用できません。

*Lab値が必要な場合はご連絡ください。


参考および引用資料

・MacbethLighting x-rite History

・BabelColor

・Bruce Lidbloom

ColorChecker Calculator

EazyRGB

・imatest

他海外資料